1999年8月11日ヨーロッパ皆既日食、現地からのレポート

1999年8月11日ヨーロッパ皆既日食に関して、埼玉県志木市の高橋さんを通じて、スイスからとフランスからのレポートをいただきました。どうもありがとうございます。 日食の神秘的な現象がよくわかります。


スイスからのレポートです。

今日は、皆さん。
あい@Weilです。

昨日Baden-Badenの近くで100%の
日食を見てきました!

11時頃雨が降っていてどうなるかと
思いましたが、天空を仰ぎ見れる原っぱまで
行き、12時ごろからひたすら太陽が現れるのを
待ち続けました。

スイスから来ている人達にも道で会いました。
私達は前の晩から両親の家に来ていたので、
交通渋滞につかまる事無く、ホっとしました。
ちょうどドイツ鉄道の線路の近くにたっていたので、
電車の中から見ているたくさんの人達が見えました。

家族で太陽の方角、天気、雲の様子等、
ああでもない、こうでもないと言いながら
少しでも日食が見れる事を願いました。
(太陽のような円い物が落ちていたので、
それをさして、「アッ、こんなところに
太陽があった!」とバカなことを言っていた私…。)

すると、厚い雲が東に流れて行き、薄い雲の中に
ようやく三日月型の太陽が現れてきました。
雨も雲も、寸前まで演出してくれたものです。
それから見えたとばかりに、日食メガネをかけ、
段々と太陽が隠れて行く様子を観察しました。

それからです。当たりが次第に暗くなって行き、
鳥達も巣に戻って行っているではありませんか!
そのあと少しの間ピーチク、パーチクと鳥達は
何かさえづっていました。そして、
もともと静かなドイツも、もっとしーんとなって、
家々の電気が灯り、まるで夜そのものでした。
もともと肌寒かったけれど、また一段とひんやり
した感じでした。
昼の12時半なのに、本当に不思議です。

太陽の光は偉大なんですね。
98%と100%では、暗さが断然違いました。
私が子供の時に、日本で日食があった気が
する事を思い出しました。(それが事実であれば
いつ頃だったかご存知な方いらっしゃいますか?)

そして、朝が明けるのと同じような感じで、でもそれ
よりは早い速度で、明るくなってきました。再び
鳥は巣から飛び立ち、私はみんなに
「グーテンモールゲン!」と声をかけました。
何かが生まれ変わったようなそんな気がしました。

それからも時々観察しましたが、一番重要なところを
見る事ができたので、皆満足でした。薄い雲の中の
太陽は、日食メガネをかけると見えず、肉眼で問題無く
楽しめました。

遠い昔、理屈として日食が理解されていなかった時代、
人々が恐れた気持ちもよくわかります。
来年は南アフリカで見れるようですね。
大きな生命の一部に触れたような、そんな一日でした。

フランスからのレポートです。

SJCGの皆様、今日は。峰平@ヴヴェイです。

私もちょっとよくばって、フランスのストラスブルグの北西にあるSarregueminsまで
日食を見に行ってきました。

その日は朝より厚い灰色の雲が空全体を覆っていたので、お昼になるまでなるべく天
気のよくなりそうなところをと、随分あちこち車で走りました。Sarregueminsはちょ
うど日食100%でしかもこの辺では一番長く観察できるところ(2分ちょっと)で
した。
12時、日食を前に雨が止みました。しかし空はどんより。360度見わたしの良い
小さな岡の上にいたのですが、見えるのはかわいらしい田園風景と灰色の雲。
12時15分、急に雲の流れが速くなり、おおっー、青空が遠くではあるが、見える
ではないか!!!ここで期待が膨らむ。心なしか太陽ががんばって顔をだそうとして
いる。ここで今日初めての太陽の光発見!(写真1)
12時20分、まだまだ暗い。ここで日食観察は絶望かなっと、悲しい気分になる。
12時25分、おおー、今度は白い雲が見えてきた。灰色の雲は退散ぎみ。
12時28分、なんと太陽が見える!元気で何より。太陽は既に月と遭遇している!
ここで生まれてはじめて、日食めがねを通して三日月形の太陽を観察。
12時30分、突然めがねを通してみえていた太陽が消える!?めがねを外すと、太
陽は月にすっぽり包まれていて、月の周りより太陽の美しい光が漏れているのが見え
た。(写真2、3)辺りも薄暗いが、夜の暗さとはまた違い、近くにいる人たちの顔
もはっきりとみえるが、暗い。真っ黒というよりかは、青さを帯びた暗さ。突然遠く
を走る電車の音が響き渡り、現実に引き返された。しかしまた、怪しい夜の雰囲気に
包まれた田園風景に心はおとぎの国にさらわれて。。。

たった2分間の経験でしたが、往復13時間をかけていったかいがありました。一緒
に行った友人が撮影した写真を何枚か送ります。雲の動きが見えますよ。